20代の営業職がやるべきこと——30代で後悔しないための種まきリスト
20代男性の転職率は13.4%(マイナビ2025)。この高い移動率が示す通り、20代は最も多くの選択肢が開いている。後悔しないために今しかできないことを、等身大で整理する。
編集部
迷ってていい。でも、知っておいてほしい。
私が29歳でインサイドセールスをやっている今、少し前の自分に言いたいことがある。「もっと早く動けばよかった」じゃなくて、「早く動いてよかった」という気持ちで今を生きている。でも周りには、25〜27歳で迷いすぎて何もできなかった、という後悔を抱えている人もいる。
20代は「選べる時代」だ。 30代になっても選べないわけじゃないけど、選択肢の広がり方は違う。今しかできないことがある。それを整理したい。
20代の転職率13.4%が示す現実
データから見ていこう。
マイナビの2025年調査によると、正社員全体の転職率は7.2%だ。しかし20代男性に絞ると13.4%と、ほぼ2倍になる。
これが意味することは何か。「20代は動くのが当たり前の時代になっている」ということだ。
かつては「3年は同じ会社で働け」という風潮があった。今でも言われることはあるが、実態は3年待たずに動く人の方が多い。そして転職した後の年収も、平均で+22万円のアップが出ている(マイナビ2025)。
「みんな転職している」から転職すべき、というわけじゃない。ただ、転職することへのネガティブな先入観を持ちすぎる必要はない、ということだ。
20代のうちは、失敗しても回復できる。業種を変えても受け入れてもらいやすい。経験を積み直せる時間がある。これは30代以降では難しくなる、唯一無二のアドバンテージだ。
20代にしかできないこと——2つのことに尽きる
私が思う「20代にしかできないこと」は2つだ。
1. 業種・職種をまたいだ経験ができる
30代、40代になると、採用側は「即戦力」を求めることが多くなる。未経験の業種・職種への転換は難しくなる。
20代のうちなら、「ポテンシャル採用」の機会がある。営業経験1〜2年でIT業界のインサイドセールスに転換したり、法人営業からSaaS企業の営業企画に移ったりする転換が、比較的受け入れてもらいやすい。
これは時間が経つほど狭まる窓だ。
2. 失敗から「時間をかけて」回復できる
失敗は誰でもする。問題は失敗した後に立て直せるかだ。
20代の失敗は「社会人初期の経験」として解釈されやすい。転職が上手くいかなくても、もう一度転職を試みる余地がある。収入が一時的に下がっても、巻き返す時間がある。
30代で同じ失敗をすると、回収にかかる時間が長くなる。だから20代のうちに「失敗できる権利」を使っておくことは、リスクではなく投資だ。
今から積むべき経験——3つの種まき
抽象的な話だけでは動けない。具体的に「今から何をすべきか」を整理する。
種1: データを「読む」経験
営業の世界でも、数字を扱える人とそうでない人の差が広がっている。
「今月の商談数」「転換率」「受注単価」——これらを自分でExcelに整理し、傾向を分析できる人はまだ少ない。もし今の職場にCRMがあれば、自分でデータを取り出してレポートを作る習慣をつけてほしい。
SaaS業界に転換を考えているなら、HubSpotの無料版やSalesforceのTrailheadを触って「CRMの使い方」を実感しておくことも有効だ。
なぜこれが重要か。営業企画・RevOps・マーケティングなど、20代後半〜30代で選択肢が広がるポジションは全て「データを読める人」を求めているからだ。
種2: 業種を「一つ」深く理解する
何でも広く知っているより、特定業界を深く知っている方が、転職市場でも顧客への提案でも強くなる。
いま担当している業界でいい。製造業なら製造業の調達フロー・主要課題・業界の動向を、月に1冊の本・10本の業界記事・3回以上の顧客ヒアリングで深める。
これを3〜5年続けると「製造業に詳しい営業」という看板が立つ。看板が立つと、紹介が生まれ、競合との差別化になり、年収交渉でも根拠が生まれる。
種3: 「社外の人間関係」を意識して作る
会社の中だけで評価されている状態は、会社を出た瞬間に価値がゼロになるリスクがある。
社外の人間関係——同期の知り合い・業界の勉強会・オンラインコミュニティ——は20代のうちに作り始める方がいい。30代になってから「業界のネットワーク」を一から作るのは難しい。
具体的なアクション: 月1回、社外の営業職と飯や飲みに行く。Connpass・Meetup系のイベントに半年で3〜5回参加する。LinkedInを整備し、現在の仕事・実績を書く。
やってはいけないこと——20代でありがちな失敗パターン
種まきの話と同様に、「やってはいけないこと」も整理しておく。
「なんとなく安全圏」に居続けること
楽な環境・居心地のいい環境は、成長機会のない環境と表裏一体のことが多い。「上司が優しい」「残業が少ない」「給与が安定している」——これらは大切な条件だが、スキルが伸びていなければ意味がない。
自分に問いかけてほしい。「今の仕事で、1年前と比べて何が上手くなったか」。明確に答えられない状態が1年続いているなら、環境を変えることを真剣に考えた方がいい。
「とにかく転職回数を増やす」こと
転職を恐れなくていい、と言ったが、転職回数が多すぎることへの懸念は採用市場でも実際にある。30代前半までに4社以上の転職経験があると、採用担当者から「継続力に問題があるか」と疑われることがある。
目安として、1社で最低1〜2年間、何らかの実績を作ってから次に動くことを意識してほしい。
「年収アップだけ」を理由に転職すること
転職後の年収+22万円というデータはあるが、これは平均値だ。年収だけを動機にした転職は、成長機会が得られないと次の転職先でも苦労する。
「次の職場でどんな経験を積み、3年後に何ができる人間になるか」という問いの方が、長期的な年収アップに直結する。
30代になってわかる「20代の価値」
周りの先輩たちを見ていて気づくことがある。30代になって後悔しているのは「あのとき失敗した」ではなく、「あのとき動かなかった」という人の方が多い。
失敗した経験は、言語化できれば面接での強みになる。でも「何もしなかった時間」は、説明のしようがない。
20代の転職率13.4%の意味を、もう一度考えてほしい。 それだけ多くの同世代が動いている。その人たちが全員「失敗した」わけじゃなく、動くことで何かを掴もうとしている。
私も今、インサイドセールスの現場で毎日学んでいる。まだ答えは出ていない部分もある。でも「動いてよかった」という確信はある。
あなたも、今できることを一つ始めてほしい。
まとめ——「種まき」は今日からできる
20代の営業職が今すべきことを、最後に整理しよう。
- データを読む習慣を作る(CRM・数値分析への慣れ)
- 特定業界の知識を深く積む(業界専門家という看板を立てる)
- 社外の人間関係を作る(会社依存のリスクヘッジ)
- 「今のままでいいか」を年1回問う(安全圏への安住を防ぐ)
どれか一つから始めてほしい。10年後の自分に感謝される選択を、今日からしていこう。
参考文献
- マイナビ,「転職動向調査2025年版(転職率・転職後年収変化)」, 2025年
- パーソルキャリア,「インサイドセールス求人動向レポート」, 2022年
- リクルートワークス研究所,「若年層の就業実態調査」, 2023年
- 厚生労働省,「雇用動向調査2024年版」, 2024年
- 20代営業職キャリアインタビュー(社名非開示・2025〜2026年実施)
よくある質問
- Q20代で転職するのは早すぎますか?
- 早すぎることはありません。マイナビの調査では20代男性の転職率は13.4%であり、20代での転職は珍しくありません。ただし「なんとなく逃げたい」という理由の転職は、次の職場でも同じ悩みが出やすいです。転職する前に「次でどんな経験を積みたいか」を明確にすることが大切です。
- Q20代のうちに転職すべき業種・職種はありますか?
- SaaS・IT業界へのインサイドセールスへの転換は、20代のうちに経験しておくと後々のキャリアが広がります。IS経験はデータ活用・ツール習熟・プロセス設計のスキルが身につき、30代以降の営業企画・RevOps・マーケティングへのキャリアパスに直結します。
- Q20代での失敗は取り返せますか?
- 十分に取り返せます。30代前半までであれば、業種変更・職種変更を含む転職の許容度が高い時期です。「失敗した経験がある人」より「何もチャレンジしていない人」の方が30代で困るケースが多いです。失敗から学んだ内容を言語化できれば、むしろ面接での強みになります。
- Q20代で最も避けるべきことは何ですか?
- 「成長機会のない環境に長く留まること」です。楽な環境・慣れた環境に安住することで、スキルも人脈も給与も、気づかないうちに市場平均から離れていきます。一方で「転職回数が多すぎる」は採用側から懸念される場合もあるため、1社で最低1〜2年は実績を作ることを意識してください。
マイ
29歳インサイドセールス
文系・非IT出身でCSからISに転職。迷いながら動いて気づいたことを、等身大で伝える。