営業企画の平均年収847万円——なぜ『裏方』が最も稼げるのか
JACリクルートメントの847万円データを軸に、営業企画・営業推進・RevOpsの違い、なぜ高報酬なのか、AI時代の価値向上、RevOps→CROへのキャリアパスまでを徹底解説する。
編集部
俺も、どん底から這い上がった。
営業現場でもがいていた頃は「裏方仕事」に興味なんてなかった。でも気づいたんだ。トップで売り続けている人の隣には、必ず「仕組みを作っている人」がいる、と。
営業企画の平均年収が847万円——この数字を初めて見たとき、俺は「なるほど」と思った。裏方だから安い、じゃなかった。裏方だから稀少で、高い。
847万円という数字の読み方
JACリクルートメントが公開している営業企画職の平均年収データによると、平均847万円。
この数字をどう読むべきか。まず、平均であることに注意してほしい。年収400〜600万円台の若手から、1,000万円を超えるシニアリーダーまでの平均値だ。つまり、ポテンシャルが非常に大きい職種ということでもある。
比較のために並べると:
| 職種 | 平均年収(目安) |
|---|---|
| 営業企画 | 約847万円(JACリクルートメント) |
| カスタマーサクセス | 約543万円(JACリクルートメント) |
| 一般営業職 | 約400〜600万円台 |
| SaaS企業上位 | 700〜1,040万円(xenoBrain 2024年) |
「同じ会社に勤める営業マンより、営業企画の方が年収が高い」というケースは珍しくない。これが裏方に見える職種の実態だ。
営業企画・営業推進・RevOps——3つの違い
「営業企画」という言葉は、企業によって意味が違う。ここで整理しておく。
営業企画
営業戦略の立案・実行が中心だ。ターゲット市場の設計、営業組織の体制・目標設定、評価制度、採用計画など、「営業組織をどう設計するか」を担う。経営との接点が多く、意思決定に近い場所にいる。
営業推進
営業企画で立てた戦略を現場に落とし込む実行支援が中心だ。SFAの整備・活用促進、研修・育成プログラムの設計、ベストプラクティスの横展開など「現場が動けるようにする」役割だ。営業企画と営業推進を一つの部署が担うケースも多い。
RevOps(Revenue Operations)
RevOpsは、営業だけでなくマーケティング・カスタマーサクセスを含む収益プロセス全体を一元管理・最適化する役割だ。米国での導入率は67.5%(HubSpot調査)に達しており、日本でも認知が急速に広まっている。
SalesforceやHubSpotなどのCRMシステム、MAツール、BI(データ分析)ツールなどを横断的に管理し、データで組織全体の収益効率を最適化する。技術的なスキルとビジネス理解の両方が求められ、市場での希少性が特に高い。
なぜ高いのか——3つの理由
なぜ営業企画はこれほど高年収なのか。構造的な理由を分解する。
1. 戦略・データ・人材調整の掛け算
営業企画は「考える仕事」と「動かす仕事」の両方が求められる。市場データを分析して戦略を立て、組織の人材に変化を起こし、経営に数字でレポートする——この3つを同時にこなせる人が少ない。
純粋な営業は「売る力」が核だ。純粋なデータアナリストは「分析力」が核だ。営業企画はその両方に加えて、組織を動かすコミュニケーション力が必要になる。この掛け算ができる人材が少ないから、希少性が高く報酬が上がる。
2. 経営への直接インパクト
営業組織が採用する戦略・体制・プロセスは、会社全体の売上に直結する。営業企画が設計した目標管理の仕組みが機能すれば、100人の営業が変わる。その影響範囲の大きさが、報酬に反映される。
現場で1人の営業が売上1億円作っても、その影響は1億円だ。営業企画が組織の成約率を5%改善すれば、チーム全体の売上が動く。スケールが違う。
3. 人材の希少性
日本では長らく「営業は現場が命」という文化が強く、営業企画という職種の認知が低かった。そのため、専門的なスキルを持つ人材のプールが少ない。
一方、SaaS成長やデータドリブン経営への移行で需要は急拡大している。需要が増えているのに供給が少ない——それが高年収を維持する構造だ。
AI時代の営業企画——価値は上がるか下がるか
結論から言う。営業企画の価値は上がる。
Salesforce調査によると、営業担当者の72%が非営業業務(データ入力・レポート作成・社内調整)に時間を使っている。このうち多くの部分がAIに置き換わっていく。
自動生成される商談サマリー、AIによる顧客の離脱予測、次のアクション提案——これらが当たり前になると、「AIが出したデータを組織の意思決定に変換する人間」の価値が増す。
データを見て「何をやめて、何を増やすか」を判断し、現場に動いてもらえるよう伝える——これは人間にしかできない仕事だ。AIはツールを提供するが、組織を動かすのは人間だ。
特にRevOps領域では、AIツールとCRMデータを組み合わせて収益の全体最適を担う人材の需要が急増している。RevOps Engineer・RevOps Managerという職種が急速に市場で認知されてきた。
キャリアパス——営業企画からどこへ行けるか
営業企画のキャリアパスは、上方向と横方向がある。
上方向(スペシャリスト→リーダー)
営業企画 → 営業企画マネージャー → 営業推進本部長 → 営業本部長(VP of Sales)
この縦のキャリアは、組織規模が大きい大手・中堅企業で起きやすい。
横方向(RevOps→CRO)
営業企画 → RevOps Manager → VP of Revenue Operations → CRO(Chief Revenue Officer)
CROは、営業・マーケティング・カスタマーサクセスを横断して収益全体を担うポジションだ。米国では確立された経営層ポジションになっており、日本でも設置企業が増えつつある。
RevOps出身者がCROになるルートは、これから日本でも広まっていくと見ている。今のうちにRevOpsスキルを身につけることは、10年後のキャリアに大きなアドバンテージになる。
営業企画に転換するために今できること
俺が転換期を振り返って思うのは、「現場にいるうちに、仕組みを考える習慣をつけることが最速」だということだ。
具体的にできること:
- SFAを自ら深く使う: 自分の商談データを自分でSFAに入力し、レポートを出してみる。データから何が読めるかを考える習慣をつける
- チームの課題を言語化して上に提案する: 「こういう問題があって、こうすれば改善できる」という提案書を作って上司に見せる。営業企画の仕事の縮小版だ
- ExcelまたはBIツールを触る: データを集計・可視化する基礎スキルは必須。BI未経験ならTableauやLookerの無料版から触れておく
裏方は地味に見える。でも、裏方を必要としている組織は増えている。そして、裏方をプロとしてやれる人間は、まだ少ない。
年収847万円という数字は、その希少性への対価だ。
参考文献・出典
- JACリクルートメント「営業企画職 平均年収データ」
- HubSpot「State of Revenue Operations 2023」(RevOps米国導入率67.5%)
- Salesforce「State of Sales Report」(営業担当の72%が非営業業務に時間)
- xenoBrain「SaaS企業年収ランキング 2024年版」
よくある質問
- Q営業企画になるにはどんな経験が必要ですか?
- 営業現場での実務経験(3〜5年)を持ちながら、データ分析・資料作成・戦略立案に関心がある人が転換しやすいです。営業プロセスを経験者の目線で設計できることが強みになるため、「元営業」は営業企画に向いています。
- QRevOpsと営業企画はどう違いますか?
- 営業企画は主に営業組織の戦略・プロセス・育成を担います。RevOpsはそれに加え、マーケティング・カスタマーサクセスを含む全収益プロセスを一元管理し、データとツールで横断的に最適化します。RevOpsはより広い視野と技術的な素養が求められます。
- Q営業企画はAIによって仕事がなくなりますか?
- なりません。むしろ価値が上がります。AIが生成する大量のデータや分析レポートを、営業組織の意思決定や行動変容に変換できる人間の役割は増えています。AIを使いこなせる営業企画は稀少価値が高まります。
- Q営業企画からCROになれますか?
- なれます。CRO(Chief Revenue Officer)は、営業・マーケ・CSを横断して収益全体を管掌するポジションです。営業企画→RevOps→CROというキャリアラダーは欧米では一般的になっており、日本でも認知が広がりつつあります。
ハル
35歳営業企画マネージャー
テレアポ300件/日の時代から、AI活用で月次戦略を回す立場へ。どん底を知っているから、リアルな話しかしない。