インサイドセールスがリモートワーク率75%である理由——働き方で選ぶ職種の話

ISのテレワーク率は75.1%と、営業系職種の中で突出して高い。なぜISはリモートしやすいのか。地方在住者のIS転職、東京集中63%の現実と地方展開の動向をデータと現場目線で解説する。

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編集部


迷ってていい。でも、これだけは知っておいてほしい。

「在宅で働きたい」「通勤したくない」「地方に住みながら良い仕事をしたい」——こういう思いを持っている人に、私はインサイドセールスという選択肢を真剣に伝えたい。

ISのテレワーク率は75.1%。この数字が示しているのは、「一部の恵まれた人だけのリモートワーク」ではなく、「ISという職種の業務特性がリモートと根本的に相性が良い」という事実だ。

ISのテレワーク率75.1%という数字が意味すること

まず、この数字が何を指しているかを確認しよう。

ISのテレワーク率75.1%というのは、IS従事者のうち75%以上がテレワーク(在宅・サテライトオフィス等)を実施しているという調査結果だ。比較として、営業職全体の平均テレワーク実施率は40%台(2024年総務省調査)であり、ISがいかに突出しているかがわかる。

この数字は、コロナ禍の特例ではなく、2024年時点でも維持・定着している数値だ。つまり、ISにとってリモートワークは「特別な配慮」ではなく「デフォルトの働き方」になっている。

なぜこれほど高いのか。その理由を理解することが、IS転職を考える上での最初のステップだ。

なぜISはリモートしやすいのか——業務設計の観点から

ISのリモートワーク親和性は、「会社が優しいから」ではなく「業務の性質」から来ている。

業務のオンライン完結性:

ISの主な業務は、架電・メール・オンラインデモ・商談・レポーティングだ。これらは全て、PCと電話回線(またはIP電話)があれば、どこでも実行できる。フィールドセールスが顧客先への訪問を伴うのと根本的に異なる。

成果の可視化のしやすさ:

ISは指標が明確だ。架電数・接続率・商談獲得数・SQL(受注確度の高い商談)の数——これらは全てデータで追える。場所を問わず、成果が数字で見えるため、マネジメント側も「オフィスで働いているか」より「数字が出ているか」で評価できる。リモートでも信頼を担保しやすい。

SaaS企業のカルチャー:

IS需要が最も高いSaaS企業は、もともとリモートワーク・非同期コミュニケーションに馴染んでいるカルチャーを持つ企業が多い。SlackやNotion、ZoomなどのSaaSツールを使いこなしているため、リモートでの業務体制を整えることへの障壁が低い。

採用の地理的拡大という経営的メリット:

リモートOKにすることで、採用候補者の地理的範囲が全国に広がる。優秀なIS人材を「東京在住者限定」で探すより、全国から採用できる方が母数が大きい。これは採用側の経営合理性でもある。

ISリモートワークのリアルなメリット

実際にISをリモートでやって良かったことを、率直に話す。

通勤ゼロの時間的・体力的メリット:

1日の往復通勤が2時間だとすると、週5日で10時間、月40時間が消えている。ISでリモートになると、この40時間が戻ってくる。勉強・副業・家族との時間・運動——何に使うかは自分次第だが、人生の質が変わる。

集中しやすい環境の設計:

架電業務は集中力が要る。オフィスで周囲の雑音がある中での架電より、静かな環境で集中する方が、会話の質が上がる。自分の環境を自分でコントロールできることは、意外と大きなメリットだ。

地方在住でも東京水準の仕事ができる:

これが一番大きい。後述するが、完全リモート可のIS求人であれば、福岡・仙台・札幌に住みながら、東京のSaaS企業に勤めることができる。給与は東京本社の規定に基づくケースが多く、地方在住者にとっては実質的な年収アップになる。

ライフイベントへの対応力:

育児・介護・配偶者の転勤など、生活の変化に対してリモートワークは圧倒的に柔軟だ。「子どもが生まれたら仕事を辞めなければ」という状況が、IS×リモートの組み合わせで変わる可能性がある。

ISリモートワークのリアルなデメリット

良いことだけ言っても嘘になる。難しいことも話す。

孤独感と人間関係の構築難度:

チームと物理的に離れていると、雑談・非公式な情報交換・空気感の共有がしにくい。特に入社したてのころは、職場の文化や暗黙のルールをつかむのに時間がかかる。「わからないことが聞きにくい」問題は、意識的に解消しないと長引く。

自己管理の重要性と難しさ:

オフィスにいると、周囲の空気で「仕事モード」に入れる。自宅だと、意識的に仕事環境を作らないとオンオフの切り替えが難しい。架電のノルマがある仕事で、誰にも見られていない状態をどう乗り越えるか——これがISリモートの最大の課題だ。

成長機会の偏り:

先輩の商談をリアルタイムで見る・隣で聞く機会が減る。Zoomの録画やシャドーイングで補完はできるが、オフィスでの「偶然の学び」は失われる。意図的にロープレ・1on1・フィードバックセッションを設計しないと、成長が遅れる可能性がある。

地方在住者のIS転職——現実的なルート

IS転職を地方から狙う場合の、現実的なステップを整理する。

前提条件の確認:

IS経験がゼロの場合、フルリモートIS求人への転職は難易度が高い。企業は「リモートで一人でやり切れる力」を求めるため、ある程度の経験があることが前提になる。

まず現職で、オンライン商談・CRMツール活用・デジタルコミュニケーションの経験を積むことが先決だ。

転職エージェントへの条件明示:

「地方在住・完全リモート可・IS職種」という条件を最初から明示する。大手汎用エージェントより、IT・SaaS特化型エージェントの方が、この条件に合う求人ポートフォリオを持っている。

CRM・SalesToolのスキルを取得する:

Salesforce・HubSpot・Zoomの使用経験は、IS求人で頻繁に求められるスキルだ。Salesforce認定資格(ADMなど)はオンラインで取得でき、地方在住者でも準備できる。

選考でリモート実績を示す:

「過去にどれだけリモート環境で成果を出したか」を具体的に話せることが重要だ。「一人でも計画的に動ける人かどうか」を採用側は見ている。

IS求人の東京集中63%と地方展開の現状

IS求人の63%が東京集中というデータがある(パーソルキャリア調査)。この現実を正直に伝える。

東京集中の背景には、SaaS企業の本社が東京に集中していること、エンタープライズ向け大型案件を担うISは対面も必要なケースがあること、などがある。

ただし、この状況は変化しつつある。

一部のSaaS企業は、採用候補者の母数を広げるために、IS職種を意図的に全国採用可(フルリモート)に切り替えている。特に採用競争が激しい職種では、「東京限定」という縛りを外す企業が増えている。

また、地方拠点を展開するSaaS企業も増えてきた。大阪・名古屋・福岡など、地方の経済圏でのSaaS浸透が進む中、地方拠点でのIS採用ニーズも出てきている。

63%が東京集中であっても、37%は東京以外にある。そして、フルリモートの求人はその37%よりさらに地理的に自由だ。「IS転職は東京に行かないと無理」は、少なくとも完全な事実ではない。

ISのリモートワークと自分の相性を確認する方法

最後に、現実的な自己診断の話をする。

ISのリモートワークが向いているのは、こういう人だ:

  • 一人でも計画を立てて動ける
  • 数字で自分の進捗を管理することが苦ではない
  • テキストコミュニケーション(Slack・メール)が得意
  • 自宅に集中できる環境を作れる
  • 孤独な時間が苦ではない(自分のリズムで働きたい)

逆に、こういう人はISリモートで苦労するかもしれない:

  • 周囲の雰囲気で仕事のテンションが上がるタイプ
  • 誰かに見られていないと怠けてしまうと自覚している
  • 人との雑談・非公式な交流でモチベーションを保つタイプ
  • 「わからないことをすぐ聞ける環境」がないと不安なタイプ

どちらが優れているという話ではない。自分の特性を知った上で、相性の良い働き方を選ぶこと——それが長期的なキャリアの満足度につながる。

IS×リモートワークは、選択肢の一つだ。全員に向いているわけじゃないけれど、向いている人にとっては、キャリアと生活の両立を実現する強力な組み合わせになる。

迷っているなら、まず転職エージェントに相談して、完全リモートのIS求人を具体的に見てみることをお勧めする。抽象的な迷いより、具体的な情報の方が、決断の助けになるから。

参考文献

  • 総務省「通信利用動向調査」(2024年、テレワーク実施率統計)
  • パーソルキャリア「インサイドセールス市場動向レポート」(IS求人12倍・東京集中63%データ)
  • Salesforce「State of Sales Report 2024」(営業担当者の業務時間分析)
  • リクルートワークス研究所「プレイングマネージャーの実態調査」(2019年)
  • 国土交通省「テレワーク人口実態調査」(2024年、職種別テレワーク実施率)

よくある質問

Qインサイドセールスはなぜリモートワークが多いのですか?
ISの業務がオンライン完結型(架電・メール・Zoom商談)だからです。顧客先に訪問する必要がなく、PCと電話回線さえあれば業務が成立します。SaaS企業のIS部門では、採用当初からリモート前提で設計されているケースも多いです。
Q地方在住でもインサイドセールスに転職できますか?
完全リモート可の求人であれば可能です。IS求人の63%は東京集中ですが、完全リモートを許可しているSaaS企業は増えています。転職エージェントに「地方在住・完全リモート可・IS職種」という条件を明示して探してもらうのが効率的です。
QISのリモートワークのデメリットはありますか?
孤独感・自己管理の難しさ・チームとの関係構築のしにくさが主なデメリットです。特に初めてISをやる場合、上司や先輩から直接学ぶ機会が減るため、成長速度が落ちる可能性があります。スラックやZoomでの積極的なコミュニケーションが必要です。
Qフィールドセールスとインサイドセールス、どちらが年収が高いですか?
一般的には、大型案件を担うフィールドセールス(AE)の方が高インセンティブの傾向があります。ただし、SaaS企業のIS→AEへのキャリアパスを歩むと、IS経験者でも年収600〜800万円台、外資では1,000万円超も現実的です。職種単体より、どの会社・業界かの方が年収への影響が大きいです。

マイ

29歳

インサイドセールス

文系・非IT出身でCSからISに転職。迷いながら動いて気づいたことを、等身大で伝える。