インサイドセールス求人が3年で12倍になった理由——今が転職のチャンスである根拠
2019〜2022年にIS求人が12倍増加(パーソルキャリア調査)。コロナ・SaaS成長・コスト効率化が重なったこの構造変化は今も続いている。未経験からISに転職する具体的ルートを解説する。
編集部
迷ってていい。でも、これだけは知っておいてほしい。
今、インサイドセールスの求人は増え続けている。3年で12倍という数字を初めて見たとき、私も「本当に?」って思った。でも、これは業界全体の構造変化で、一時的なブームじゃない。
あなたが今、転職を考えているなら——あるいは「営業を続けていていいのか」って迷っているなら——この記事を読んでほしい。
3年で12倍という数字の意味
パーソルキャリアが2022年に発表したデータによると、インサイドセールス関連の求人数は2019年から2022年の3年間で12倍に増加した。
12倍。これは他の職種と比べても異例の伸び率だ。
同じ期間、一般的な営業職の求人数は1.2〜1.5倍程度の増加だった。ISの求人が12倍になった背景には、単なる一時的なブームではなく、3つの構造変化が重なっている。
さらに、ISは一般営業と比べて応募者数が1.3倍多いというデータもある(パーソルキャリア、2021年)。つまり求人が増えているだけでなく、転職市場でも注目度が高まっているということだ。
なぜ急増したのか——3つの構造変化
1. コロナによる「対面営業」の制限
2020〜2021年のコロナ禍で、多くの企業が訪問営業を制限せざるを得なかった。そのとき「オンラインでも成果を出せる仕組み」を作ることが急務になり、インサイドセールス体制の整備が一気に進んだ。
重要なのは、コロナが明けた後も「IS体制をやめる」企業は少なかったことだ。理由は単純で、コスト効率が良かったから。フィールドセールスが1件の顧客に会うために移動する時間・交通費・人件費を計算すると、ISとの差は大きい。
2. SaaS企業の急成長
国内SaaS市場は2018年頃から急速に拡大し、新興SaaS企業が次々と誕生した。これらの企業は、フィールドセールス中心の旧来モデルではなく、PLG(プロダクトレッドグロース)とIS中心のモデルを採用するケースが多い。
SaaS企業は「まず使ってもらう→IS・CSが育てる→フィールドセールスが拡大する」という分業モデルを取る。このモデルにおいて、ISは企業成長の中核を担う。SaaS市場の成長が、IS求人の増加を直接牽引した。
3. 「分業制」という考え方の普及
旧来の営業モデルは、一人の営業が新規開拓から契約・アフターフォローまで全部やっていた。これを「The Model」型の分業モデルに転換する動きが、SaaS企業発で広がっていった。
- SDR/BDR: 新規開拓・アポ獲得
- AE(アカウントエグゼクティブ): 商談・クロージング
- CSM(カスタマーサクセスマネージャー): 導入後の成功支援
この分業化によって各専門職のポジションが新たに生まれ、IS系ポジションの採用数が増えた。
インサイドセールスの仕事内容と年収
「インサイドセールスって、テレアポと何が違うの?」と思う人は多い。違いを整理する。
テレアポとISの違い
| 項目 | テレアポ | インサイドセールス |
|---|---|---|
| 目的 | アポを取る | 案件を育てる |
| 使うツール | 電話 | 電話・メール・Web会議・MA・CRM |
| データ活用 | 少ない | 多い(行動追跡・スコアリング) |
| フォローの深さ | 浅い(アポ後は別担当) | 深い(受注まで伴走することも) |
| 評価指標 | アポ数 | 商談化率・パイプライン金額 |
ISは「科学的な営業」と表現されることが多い。どの顧客がどのタイミングで興味を持っているかをツールで分析し、最適なアプローチをする。電話をかけるだけでなく、CRMやMAツールを使いこなす力が求められる。
年収の現実
未経験〜3年目のIS担当で350〜500万円台が中心だ。SaaS企業の中でも規模によって差が大きく、スタートアップでは低めの固定給+インセンティブ設計が多い。
実績を積んでAEやマネージャーに上がれば600〜800万円台も見えてくる。SaaS企業の年収1位とされるプレイド(xenoBrain 2024年調査)では平均年収が1,040万円というデータもあり、IS出身のリーダー職が一定数存在する。
カスタマーサクセスマネージャー(CSM)の平均は543万円(業界調査)。ISを経てCSMに転換するキャリアパスも一般的だ。
IS職のライフスタイル:テレワーク可能率75.1%
ISが注目を集める理由の一つが、働き方の柔軟性だ。
ISテレワーク可能率は75.1%(2022年調査)。フィールドセールスが客先に出向くことが前提なのに対し、ISはオンラインで完結する業務が多い。
- 在宅勤務がしやすい
- 子育て中でも続けやすい
- 地方に住みながら東京の企業で働ける
これは特に、30代でライフスタイルの変化を迎えた人(結婚・育児・親の介護など)にとって大きな魅力になっている。求人数が多いだけでなく、「働き続けやすい職種」という側面が応募者数の多さにも繋がっている。
東京集中の現状と地方の機会
IS求人は都市圏、特に東京・大阪・名古屋への集中が顕著だ。SaaS企業の本社が東京に集中しているため、IS採用もそこに偏る傾向がある。
一方でテレワーク可能率が高いため、「地方在住で東京企業のIS職」というケースは増えている。採用企業によっては、フル在宅OKで全国採用を行うところも珍しくない。
地方に住んでいるからIS転職が難しいと考えている人は、求人票の「勤務地」と「テレワーク可否」を必ず確認してほしい。選択肢は思ったより広い。
未経験からISに入る現実的なルート
「IS転職したいけど、自分に合ってる?」と迷っている人に向けて、現実的なルートを整理する。
ステップ1: BDR(新規開拓担当)からスタートする
IS職の中で最も未経験が入りやすいのが**BDR(バウンドデベロップメントレップ)**だ。架電・メール・Webフォームなどで新規企業にアプローチし、初回商談のアポを取るポジション。
テレアポの経験がある人はそのまま活かせる。ない人でも、「コミュニケーション力 × ITリテラシー × 学習意欲」があれば採用されるケースは多い。
ステップ2: SaaS製品の理解を深める
BDRの仕事で最初に詰まるのは「自社製品への理解不足」だ。顧客に「それ、どういう仕組みで動いてるの?」と聞かれたときに答えられないと信頼を損なう。
入社前に自社製品のヘルプページ・ユーザーガイド・競合比較サイトを読み込む習慣は必須だ。
ステップ3: AEまたはCSMへの転換を視野に入れる
BDRで2〜3年実績を積むと、**AE(クロージング担当)またはCSM(顧客成功担当)**へのキャリアアップが見えてくる。どちらに進むかは得意領域によって変わる。
「交渉・クロージングが好き」→ AE方向 「顧客の成功を長期支援したい」→ CSM方向
この二択は、早めに意識しておくと成長の方向性が定まりやすい。
今がチャンスである、本当の理由
求人が多いからチャンス、は事実だけど、それだけじゃない。
IS職が日本に本格普及したのはここ数年の話で、「IS経験10年以上のベテラン」がまだ少ない。つまり、今IS職に就いた人は数年後に「ISのベテラン」として希少価値を持てる。
先行者利益が取れるタイミング——それが今だ。
迷ってていい。でも、知った上で迷ってほしい。12倍の求人は、偶然じゃなく必然の変化だから。
参考文献
- パーソルキャリア「インサイドセールスに関する実態調査」PRTimes(2022年)
- パーソルキャリア「IS/CS求人と応募数に関する調査」(2021年)
- xenoBrain「SaaS企業年収ランキング2024」(2024年)
- MarketSplit「国内SaaS市場規模調査」(2023年)
よくある質問
- Qインサイドセールスは未経験から転職できますか?
- できます。特にBDR(バウンドデベロップメントレップ)は架電・メール中心の業務であり、コミュニケーション力と学習意欲があれば入りやすいポジションです。ただしSaaS企業は業務理解が求められるため、基礎的なITリテラシーと事前学習は必要です。
- Qインサイドセールスの年収はどのくらいですか?
- 未経験〜3年目で350〜500万円台が中心です。SDR/BDRからAE(アカウントエグゼクティブ)やCSM(カスタマーサクセスマネージャー)に上がると500〜700万円台になるケースが多く、SaaS大手では1,000万円超の事例もあります。
- Qインサイドセールスとフィールドセールスはどちらが良いですか?
- ライフスタイルで選ぶなら、テレワーク可能率75.1%のISが有利です。スキルで選ぶなら、ISはデータ分析・ツール活用の経験が積みやすく、フィールドセールスは対面折衝力・大型商談の経験が積みやすい。どちらかを経験したうえでもう一方に転換するキャリアパスも一般的です。
マイ
29歳インサイドセールス
文系・非IT出身でCSからISに転職。迷いながら動いて気づいたことを、等身大で伝える。